「イナンナ。次会ったら覚えとけよ!」
起き上がりそう叫ぶ。
「おお!女神が目覚めたぞ!」
周囲にはなぜか男の人たちがたくさん居て
「なにこれ?」
「女神様が話されるぞ!」
「あのさ・・・女神って俺?」
全然理解が追い付かない。
「左様でございます。女神様我々の願いを叶えてはいただけないでしょうか?」
「いや、俺。男」
「ハハハ。女神さまは冗談までお上手だ」
・・・自分の身体を眺める。
「イナンナのやろー!マジで女じゃねえか!」
「いかん!女神さまがお怒りだ!」
「どうする!」
「・・・鏡」
「カガミ?」
「鏡持ってこい!」
自分の顔を確認しないと・・・。9割諦めているがもしかしたら・・・があるかもしれない。
「その・・・カガミ・・・とは何でしょうか?女神さまの神秘的な何かでしょうか?」
マジ?え?この世界鏡もないの?
「あー、じゃあ、自分の姿を確認したいんだが」
「それなら湖畔で確認できます。おい、案内を」
3人の男に護衛(?)されながら湖畔に向かった。その湖畔は現代の日本では見ることが出来ないだろう。ここだけ時が止まっているような。そんな幻想的な場所だった。
「どうぞ。こちらでお姿を確認できます」
「ありがとう」
・・・自分の姿を確認し
「なあ、これって嘘の姿とか俺の妄想が現れる湖畔?」
「ハハハ。相変わらず女神様は冗談がお好きだ」
と、言う事はこのサラサラの金色のロングヘアーで目がパッチリしてて良く言われる○○が生んだ奇跡の美少女!みたいな姿が。ってか何だ?この服は。白装束みたいな。この世界の趣味か?
「・・・これが俺なのか」
「はい。お美しいですね」
「気持ち悪いからやめてくれ」
あのイナンナめ。自分の姿が自分のタイプでそれを他の男から美しいとか言われてもよ。ただただ悪寒がするだけだ。
「戻ろう」
それだけ言って湖畔を後にした。
そして俺は村に戻って、うん。戻ったのはいいんだよ。
「あのさ」
「なんでしょうか?」
「なんで俺こんな祭り上げられているわけ?」
戻ったら日本で言うと神輿みたいなのにのせられ周りを囲まれた。
「そりゃあ女神様ですから」
「その女神って言うのやめろ」
「いえいえ女神様には変わりませんから。そう、この村にとって」
「・・・妙な言い方だな」
「そう言えば女神様!お飲み物を持って来たのですが」
「ははは。このタイミングで言われると薬とか入ってそうだな」
「ははは」
「・・・」
「さあ、一気に飲み干して下さい!」
「誰が飲むか!」
こいつら何が目的なんだよ!
「ええい!おとなしく魔物への生贄になれ!」
「キャラ変わり過ぎだろ!ってか魔物って何だよ!」
このジジイ!生贄とか物騒な言葉まで聞こえたぞ!
「やれ」
「はっ」
周りにいた男たちが一斉に俺の体をつかみ
「てめえら何触ってんだよ!」
「すみません女神様!これも村のためなんです!」
「んなの知るか!・・・んぐっ!」
暴れたが全然力で勝てず結局無理矢理飲まされ気付いたら自分の姿を初めて見た湖だった。手足まで縛られているし・・・。何だよこれ。これじゃ前の人生と変わらねえじゃないか。
