「おい」
「はい」
俺はおそらく生贄になったのを確認するためにいるだろう男に話しかけた。
「とりあえず理由くらい話してくれよ」
「この湖は美しいと思いませんか?」
「まあ、そうだな」
初めて湖を見たが確かに綺麗だと思った。
「そしてその美しい物には様々なモノが集まってくるんです」
「それが魔物だったと?」
「はい。我々は武器を持ち戦いましたが全く手におえませんでした。そこで魔物はこう言ってきたのです。2つの月が紅く染まるとき村を襲う。襲われたくなければ村にいる娘をさし出せと」
なんともまあ、女好きな魔物だこって。
「で?」
「我々は誰を生贄に差し出すか悩みました。そして今日は魔物が言った初めての日になります」
「んで、たまたま俺が倒れていた・・・と」
「女神さまには大変申し訳ありませんがそういうことです」
ま、村の理由は分かった。
「でもよ。それってただの時間稼ぎじゃねえか」
「……そう言われても我々にはもう」
はあ、なんでこんな所で無駄に正義感出ちまうんだろうな。
「俺が生きる為にその魔物倒しても問題ないよな?」
「女神様が?」
「やめろ。俺には悠一……ルイって名前があるんだよ」
「ルイ様……」
「とりあえず縄解いてくれ。で、村に帰ってろ」
「しかし!」
あぁ、もう。めんどくさいな。
「これから見せるのは貴方には見られたくないのよ。ね、だから村で待っていて」
自分でやっていて気持ち悪さを感じるが我慢だ。
「わ、分かりました」
そう言い縄が解かれ
「ルイ様に御幸運を」
そう言って男は村に帰って行った。
さて、
「イナンナ!見ているんだろ!」
「あれーバレちゃいました?」
そう言い上空から現れるイナンナ。
「よう。よくもこんな姿にしてくれたな」
「えー。可愛いじゃないですかー」
「可愛いから問題なんだよ!」
そういやイナンナの姿初めて見たが見たら余計ムカつくな。ピンクの髪にツインテール、銀色の目に天使の羽、天使の輪。そして無駄にデカい胸。
しかし今更だがホントに異世界に来たんだなって思ってしまう。
「でー、何ですか?」
「この村を救うから力を貸せ」
「ふーん。そういうことーですか」
「イナンナなら出来るだろ?」
「んー私のお願いをー叶えてくれたらー良いですよー」
は?
「なんで俺が?」
「良いんですよー?そのまま魔物の餌になってもらってもー」
このやろっ!こっちの足元見やがって。
「……言ってみろ」
「ちゃんとー女の子してくださいよー。言葉遣いとかー、服装とかー」
「……マジで?」
「大マジですー」
俺のほとんど無いプライドをズタボロにする気だろこいつ。
「……お前にメリットは?」
「可愛いルイをー見たいだけですー」
「あぁもう!分かった!やるから力貸せ!」
何故か分からないがコイツには一生勝てる気がしない。
「契約ですよー」
そうイナンナが言うと俺の身体が光だし
「首輪か?」
「チョーカーって言って下さいよー。約束破るとーそれが痺れるようになってまーす」
なってまーす。じゃねえよ!
「後は……指輪?」
「はい。一応それでーいつでも私とー話せまーす」
「いや、これでどう闘えと!?」
「もー、ルイはせっかちさんですねー。私のとっておき見せてあげまーす」
そう言うと背後が光り輝き
「紅い……刀」
「はい。魔力とかー色々詰め込んでみましたー」
魔力?
「えっ?この世界、魔法とかあるわけ?」
「ありますよー。言いましたよね?」
「言われてねえ!」
そう言った瞬間身体に電流が流れた。
「つっ!!」
「今のー可愛くないのでー約束破った扱いですねー」
この女っ!
